メランコリック

私が通っていた学校が古くなり家の目の前に新たに学校が建てられることになった。田んぼの敷地を市だか県だかが買い取りそれを元に実家も数年前(もう8年も経ってた)に建て替えられた。

新潟の震災でもうかなりボロボロだったし、新しくなるのは嬉しかったけどやはり自分が育ってきた家がなくなるというのは寂しい気持ちになったし今も時々思い出す。夢に出てくることもあった気がする。だからもう実家があるようでないような気もしている。

建て替えの前の夏休み、最後だから絶対帰省しようと思っていたのに前日にまさかの高熱が出て帰れなくなった。本当に悔しくて悲しくて高速バスの予約をベッドで取り消しながらずっと泣いていた。結構な頻度で夏風邪をひくけどまさかこのタイミングで……とどうしようもなさにただ泣くことしかできずわりと人生の心残りになっている。

その後母親から取り壊される前の外から撮られた今は亡き実家の写真が送られてきた。雪国なので二重ドアになっているけどすでに1つ目の玄関は取り外されていた。結構自分が居たり好きな空間とか建物自体に思い入れを持つタイプなんだろうなと思うから写真を見ながらまた少し泣いた。ちゃんとお別れできなくてごめんね。

新しい実家の窓から見る風景は相変わらず田んぼと山とぽつぽつ建つ家と抜けるほどの空の青と雲の白。でも目線や窓の違いに少し寂しさを覚える。ボロボロで壁も薄くて嫌だったこともあるけど、そこには確かに私の18年の生活が、暮らしがあった。