愛=猫論

部屋にいるとたまに風鈴の音が聞こえてくる。近所の家の軒先に一年中風鈴が下げてあって、季節を問わず聞こえてくる。夏だけにしなよと思いつつもその音で私はホッタモモさんというSSWのいつかのセブンスで行われた冬のワンマンライブを想起させられてしまう。彼女はギターに風鈴を下げていて演奏の度に揺れて鳴っていた。彼女の声や演奏のせいか、それは涼やかさより温かさを感じる音だった。

就活をしていた頃リーマンショック直撃の超就職氷河期で100社近く受けて全部落ちてもうこれ以上は就活うつになるからやめよう、と半ば諦め気味になりずっと大学の和室にいてサークル活動に勤しみ後輩の指導をしていた。就職が決まらないまま大学を卒業して、その後ハロワに通いながらどうしてもしんどいときにときどきホッタモモさんとイロメガネのライブに行っていた。彼女たちのライブに救われてやっぱり東京に居たいからもうちょっとがんばろうと思えたしなんとか生きていられた気さえする。勝手ながら当時の心の支えだった。

ライブも盛り上がるだけじゃなく演奏を体感しながら静かに心で聴くものであって良いと思う。というか、え、これそんな盛り上げる曲じゃなくない?となるときがたまにあって……そういうときは本当静かに向き合わせてくれってなるし、フロアの空気が無理すぎてライブから離れたりしてしまうときもある。イチ客でしかないし楽しみ方は人それぞれなんだろうけど音楽を利用しないでほしいなって思うとき、正直結構ある。